もう数日前のこと
ちょうど個展の搬入準備をしていた頃
夕方サマーハウスへ向かって夕食の準備をしている横で
「あ、そうそうこれつくらなくちゃ。」と
Leneが籠からドライフラワーを取り出した。
黄色いランプの下で黄色い花のお酒つくり。
デンマーク語でPerikonというこの花は
ハーブの本で見たことある、あのセントジョンズワートのこと。
「冬の間のdepression/鬱/にすごくよく効くの。毎年この夏至の季節につくるのよ」
太陽の少ない冬の北欧で うつになるのは特別なことではないみたい
「特に若いときは、ひどくつらいから」
だからこの薬草perikonの花のお酒を冬の間に薬草種としてのむのだって。
これは息子のため。
じゃあLeneのお母さんもつくってたの?ときくと
「うちは父さんがつくってたわ」
「でも絶対に夏に味見でも飲んだらだめよ。
瞳がひらいて目に入ってくる光が強くなるものだから
夏に飲むと強い日射しで目を痛めるから」
「聖ヨハネ(つまりSt. Johns )の日」6月24日頃までに花が咲き、
伝統的にその日に収穫されたためセントジョーンズワートという名前が付いたという
「光が一番長い夏至の日
自然は魔法の力に満ちていて
その日に摘んだ植物は神聖な癒しの力を持つと信じられていた」
まさにそのとおりの薬草なのだ。
Leneはべつに意識した訳でもないのに
振り返って数えてみたらちょうど夏至の日に摘んでいた
どんなに忙しくても此処の景色のなかにいれば
むかしの人が見つめていたままの自然の営みを
受けとめられるのかもなとおもう。
数日乾燥させておいて一段色味の濃くなった花の部分だけ摘んで使う
花だけ(といってもまぁ程よく適当に)ボトルへつめたら
そこへボンホルム産のsnapsをそそぐ。
no sugar, just flower and snaps.
「きっと驚くわよ。そのうちにみるみる赤くなるから。」
それから夕食を食べて 芝刈りを一仕事してもどったら
(夜8時半だというのにこれから庭仕事ができる)
そうして戻ってきたらボトルの中にもううすく赤い色が流れ出ていた
たった2時間くらいで。
見事なルビー色になりました。
素敵なガラス瓶に詰め替えて
冬までじっくり熟成させる。まるでベリーのお酒みたい。