2019-9
ふりかえってボンホルム島での日々より
スウェーデンへの旅へ出る前のこと
「Everynがね、彼女の小屋ぜひ貸してもいいわよって」と
友人が教えてくれた
その頃には滞在場所を探していることを皆が気にかけてくれたおかげで
ここはどう、あそこは?と友人たちが色々と情報をくれた
svanekeの街から自転車で5分走った草原の中に
その4Dというシェアワークショップがあった
エヴィリンはsvanekeにDESIGN&CRAFTのお店を持つオーナーで
自身も陶芸家としてこの工房4Dのメンバーであった
ここがメインの建物ね、でもあなたが住むのはこっちなの、と庭に案内してくれた
「ここよ、ここが私のキャラバン」と
展示会まであと10日ほどの時期だったから、静かに水彩画かけたらいい
そこは最適な場所だった
大きなベッドがあって 反対側に大きな画板を置いて描けるスペース、それだけの小屋
ガサゴソ、というよりももっと獣みたいなものが茂みの枯葉を踏みつけるような音がして
最初の夕暮れは少し心細くなった
まだ暗闇にはなっていなかったから、よおく茂みの奥に目を凝らしてみる
それはちいさなハリネズミ、こちらの茂みから出てきてちょうど反対側の茂みへ
小道を横断するところだった
こちらに気がついてキュッと針山を持ち上げるように固くなる
辛抱強くじっーと じーっと
静かに見つめてると、ちらっと見つめ返してくる
そのくりかえし
カメラを向けるとそのシャッター音に、びくっと大きく体を震わせた
そんなにびっくりしないでよ、
もう一度、もう一度、と繰り返す私に
怖がりもせず呆れもせずに付き合ってくれた 彼
こちらをちらりとまた見つめてくる、の繰り返し
彼はどうも大家族の一人で少なくとも茂みにはあと三つ四つ五つの針山がごそごそと動いていた
それから毎晩、その音が聞こえるとちょっと安心したのでした。
「シャワーはないけど海へ行って泳いできたらいいわよ、気持ちいから」
と教わって 自転車で毎朝海へと向かった
空が応援してくれているような夏らしいお天気が続いて
それはそれはシンプルな生活だった
いちじくとブラックベリーが熟し始めていた頃海辺の花を摘んでは持って帰って
それを持ち帰ってはただ描く日々
さみしくなったら街へいつでも降りて行けた
LoneもCharlotteもMayaもいるsvanekeへ
土曜日のマーケットにSueに会いに行く
また夕暮れが来て、、、