28年の瞳

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馬との暮らし

毎朝8時 まず若い三人娘のkindergarten へ
いつだってお腹をすかせた彼らは
スケッチブックだって食べかねないくらい

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馬の瞳はいつだって潤んでいる
大きな瞳には景色が映り込んでいて
ずっと遠くを見ているのか 近くを見ているのか
馬の心があるならその深いところへ、その柔らかさへと通じているような瞳に
じっと見つめられる、朝

Murraは最長老の28歳、もう身体が老いに蝕まれていて瞳は白濁していた
皆と離れたところで静かに干し草を喰んでいる
今まで10頭もの仔馬を育て、いつだって若造たちをなだめ温かく受け止めていたというMurra
28年の瞳はもう白くて何も映していない
その濁った瞳の内側にどれだけの記憶を留めているのかな

 

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2日目の朝、ドラマチックな場面にであった
留守にしていたこの家の馬たちのボスBlommerが2週間ぶりに帰ってきたのだ
クリスチャンがBlommerを厩車から引き 庭を他の馬たちがいる野原へ向かって歩いていく

突然Blommerが高らかに叫んだ(鳴いた) ヒヒーーーーン
帰ってきたわ!というボスらしい迫力で
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一瞬間を置いてから
どこからともなく ヒヒーーン ヒヒーンと馬のいななきがあちこちからが帰ってきた
すごい音量で
ずっと向こうの馬小屋や野原にいる10頭もの馬たちには
ボスの姿がまだ見えていないはずなのに、ボスの声に皆の声が答えていた
そのなんとも緊張感のある鳴き声は 喜んでいるのか、たたえているのか

やがて馬たちが駆け足で向かってくるのが見えた。
それまで野原でうとうとと、草をゆったり食んでいる馬たちが突然見せた機敏な姿に
こちらの目が今度は潤むほどだった

馬は群の動物なんだ
いつだってボスが必要だからね、
実はBlommerの留守の間に次の新しいボスが誕生していたんだ Gloaだよ
でもGloaはあの日どんな行動をとったと思う?
みんながボスを迎えたのに彼女は一人で反対の方向へ立ち去っていったんだ
平和的に、ボスを返上したんだね。Blommerに譲ったんだ
こんなの初めてだよ。
とクリスチャン

やっぱり28年生きている馬の瞳はきっと何かを記憶しているはずだ

Posted in デンマーク便り, 空詩土にっき
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