白い霧とアザミ

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2019/10/30

アザミがまだ野に咲いている
10月に咲いているのはアザミでもノハラアザミなのだって
棘のある葉は控えめに すっと伸びた茎の上にマゼンダ色が眩しい
粉吹いたような白い雄しべがよく際立ってる
アザミと過ごす日

雨が止んで外は白い霧に包まれた
窓はもちろん閉めているのだけれど
乳白色の霧は壁をすり抜けて流れてきそうなくらいのきめの細かさで
部屋の空気をしんとさせる
10月はなんだか記憶の中にとどまっていた日々だったなぁ
骨折したことと関係があるのかないのか
意気込んで前に足を踏み出せないことと
霧の中で薄れてゆく記憶を何度もなんども
留めようと反芻してるような日々

やがて西の空が少し色づいて
日が暮れる直前に雲の合間から儚い光がさす
艶かしい一瞬

アザミの下で会いましょう、
そんな約束したかしら
記憶はもう霧の中です

棘のあるアザミの花言葉は 独立 厳格 触れないで だそうです
棘のあるのは何かを守っているから 何かを守ろうとしているからで
その内側の柔らかな弱さを知っているのだと思うのです

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