弦楽の夜

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2019/12/11

6つの弦の振動が身体の奥へ奥へ
足先の骨へと響く夜でした

記憶の中のルーマニアを
まだ見たことのない場所を
バイオリンの音色の海原を
泳いだような

古澤巌とベルリンフィル弦楽6重奏の八ヶ岳での演奏会へ
第一バイオリニストdincaさんがルーマニアの出身ということで
ルーマニアの民謡からジプシー、タンゴ、イタリアの作曲家マリーノの新曲など
クラシックと言いながら初めて耳にするプログラムだったから
こんなに揺さぶられたのかもしれない

演奏家の指先がものすごい細かなタッチで弦に触れる様子を
体を揺らしながら笑顔をこぼす古澤さんを
コントラバスの人が曲の合間にだけ見せるえくぼも
終始真剣な眼差しを崩さないチェロの奏者の
弦と弓の触れた瞬間に立ち上る白い微かな煙を
最前列で見られたこと

こんなことがあるんだ、というような こと

会場を出たら
「わ、海みたい」と小さな声をあげて空を見上げる
天上に在るまあるい月に照らされて
闇にならない夜空に
白い雲が風に悠と流れていく
どこまでも平たい夜

今まで見たことも感じたこともないことが
この瞬間に
次の瞬間にも
これからもたくさん在ること
それを受けとめる瞬間の身体の振動が奥からも外からも押し寄せてきた夜でした

きっと足の小さな骨にも伝わったの

素敵な夜をありがとう

 

 

 

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