Smileと微笑み

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2020/2/20

“I Came to buy a smile—today—
But just a single smile—
The smallest one upon your face
Will suit me just as well—
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by Emily Dickinson

「今日は微笑みを買いたくて参りました
ええ 微笑みをたったひとつ
あなたのお顔の一番小さいもので
私に十分なのです」

中島完訳

smile に 微笑み、微笑、笑顔、どの言葉を当てるかによって
この詩のはじまりに漂う色彩が違うなぁと 思う
控えめなのに どうしたって内にある強い気持ちが
言葉のあいだから滲んでくるようなエミリーの詩には
笑顔より微笑みが合うのかもしれない

笑顔と微笑みのちがいって?と 日本語を学ぶ友人に聞かれたとする
まず微笑み の語源って
頬笑みとも書くそうな
頬が笑うこと、
笑顔はもっと明らかに 朗らかに
”笑顔は嬉しさの感情が伴う時に使われる
微笑みは感情よりは表情として 口元を閉じたまま口角を少し上げる感じ”
微笑はさらにもっと含みがあるような

人と人との間柄では
微笑みよりも笑顔の方が分かりやすく、もらって嬉しいのはきっと笑顔、、なのでしょう
でももし野原を独り歩いているとしたら?
風が頬を渡っていく時、
蕾がほころぶくらいの
ささやかな感情の動きを言い表すには
”笑顔”よりも”微笑み”の方が似合うような気がする
そこには他にニンゲンはいないのだから
誰かに喜ばれるような笑顔でなくてもいい
誰かに、向けて生まれた笑顔でなくて
大気にふと溢れるくらいの微笑みを、見たいのだと思う。

誰でも知っているsmileの、英語の語源は何だろう
smileは1300年代の古ドイツ語もしくはデンマーク語から派生したもの
スカンジナビアの言語が語源とされている、そうな
デンマーク語で”笑う”は smile (発音はスミラ)
英語から来たものと思っていたけれど
元はこちらだということ 、

もう一つ付け足しておけば
やがて古い英語のsmileから
smirk が分かれていく
微笑む、でも”ちょっと嫌な感じの”得意げなニヤニヤ笑いを今でも英語でsmirkという
故に現代の英語のsmileは、晴れやかな感じの微笑む、にっこり笑う の意味する言葉して使われている、、とのこと
景色が晴れやかだとか 太陽がにっこり笑いかけている、みたいな

ええと、なにがはじまりだったかしら
とにかくエミリーの詩には笑顔よりも微笑みが合うと思う
タンポポは笑顔でにっこり
ニリンソウは微笑み

Posted in 日々のこと daily note, 空詩土にっき
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