ゆきのあさと境界

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2021/1/8

うっすら白く雪に包まれた朝でした
南側の軒下に
クリスマスローズが一つ
最初の一つが咲いていたの

ああ、真冬に春へと繋げてくれる勇気あるひと
薪をくべても
なかなか暖まらないアトリエで
でもあの朝の一瞬で遠くの春へと繋がったような
嬉しい錯覚がまだ心に漂っていて
まだ眠っている草を描く

春へつながるひと
まだ眠ってるひとみんなと一緒に
凍える日

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お正月に読んだ本のこと

「わたしは境界がすきです。」これはトーヴェヤンソンの口癖だった。
「夕暮れは昼と夜を分つ境界であり浜辺は海と陸を分かつ境界であり、、、

「境界とはあこがれる気持ちです。相対するふたりが互いに惹かれあっていながらも、いまだなにひとつ言葉にならないでいるのです。
 境界上にあるとは、途上にあることを意味します。たいせつなのはそこにいたる道のりなのです」

冨原眞弓 “ミンネのかけら”より
引用したのはどちらも筆者がトーベヤンソンの言葉を引用したもの

ムーミン谷へとつづく道 と副題にあるようにムーミンの翻訳者としられている冨原真弓さん
フランスでの留学時代、日本そして北欧で光を放つ友人との出会い
彼女のミンネ(記憶)の断片を綴ったものです

彫刻家のフラン 旅人グニーラとマリ 登場人物はいつのまにか海の向こうの友人の顔に重なったりもして
夏至祭、北欧の島、風景も鮮明に広がって 静かなお正月にちょっと旅した気分にもなれたのでした
そして何より体当たりでトーヴェヤンソンと向き合う彼女の、、なんという聡明さ

「長くひとりでいると 聴こえるものが変わる 古くて固まった考えが、新たな軌道へ乗って躍りだす。
でなければひからびて死ぬ。 みる夢は素朴で、めざめると微笑みが浮かぶ。問題は単純なもので、いつも解決の道がある」

境界は一直線でもないなぁ、と描きながら思う
色の境界に立ちあわられる神秘。それも魅力

Posted in 日々のこと daily note, 空詩土にっき
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