2021/5/18
霧の朝でした
すぐに流れてゆきそうにもない 深い深い霧
雨もいつ降り出すかわからない、でも青麦の景色みたくて歩きはじめる
晴れた日の朝には小鳥のさえずりが若葉に響き渡るのだけれど
今朝の音はすべて、白い霧の中
小鳥たちの声がしないわけでもない
どこかにいる茂みの中で その歌声はそこだけでくぐもって聞こえる
それでもカッコーの声は
霧をすーっと抜けてよく聴こえてくる
白い天空から届く
カッコーカッコー
青麦のヒゲ先には幾千もの朝露
その穂先を滑るようにツバメが横切る
それからまた一段と白い霧が押し寄せてきた
10歩先はミルキーホワイトの世界
不思議だなと思う、こんな風に霧に閉じ込められて5m先も見渡せないというのに
なんだかこう、眼に映っている風景が
足元からどこかへ、とつながっている
と深いところで感じたから
ずっとずっと丘を登っていくと一面の麦畑が広がって
その向こうに海が見える、あの景色に
帰り道はいよいよ霧も深くなって
土手に咲く黄色い花が目印になってくれました
クサノオウ、光のないときに光を放ってくれる愛らしい黄色
一つ、と摘んでから あ、と思い出す
黄色い汁に触れないように
そのまま朝のスケッチへと