風と光と
草と花と
目を閉じてそこに漂うとき
手のひらにちょこんとのるくらいの
ちいさな花に
足首にそっと触れる草に
風に揺れる黄とバイオレットに
ここに在ることを受け止めてもらえる
そう感じてたのだと思う
ここにいていいよと
たぶん
わたしがわたしを受け止められるようになるずっと前から
朝の雫と
夕の風
やがて降り立つ霜
季節が巡ってやがて彼らがまた現れることを
知っている
知っているけどまた出逢う
待ち遠しい
そうやって描きつづけたい
水彩画と版画
二つの技法が別の景色に連れ出してくれる
今回もしみじみそう感じながら制作をしていました。
水彩は生身の、いきとしいけるものに対峙する
静謐さと真剣さが伴う
描き出したときの高揚感から始まって
立ち止まり、絵の前に佇む時間が長くなって ふぅ、と
息を止まってたことに気が付く
一つの茎、一つの草を描くのに半日かかったりする
刻々と水と絵の具が流れ動き、どこにたどり着くのかわからない旅のようなもの
遅々として進まないこともある
描かずに絵の前でただ佇んでいたことも そのときの思いも絵に積み重なっていく気がする
一方の版画は指先の動きに身を任せるというような感覚、
一瞬の何かを掴むような
成り行き任せなハラハラ感を伴う
水彩で張り詰めていた気持ちが、版画の作業をしているうちに
ふっと緩む、こともある
そんなわけでここ数年、どちらにも偏ることなく
展示会には水彩画と版画とが並んでいます
9月に訪れたデンマークで版画の作品に出会って
版画で違う世界を描きたいと思う気持ちが生まれてきました
また試行錯誤して行きたい