昨日はどこにもありません

 

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霧の朝。

あらゆる枝先にてれりてれりと
開ききった白いこぶしの花が
白く樹形を浮かび上がらせている
きっともうすぐ白は地面に落ちてしまう
林の辛夷を見上げて歩く。

 

足下にも春の白い花。
菊咲きイチゲとアズマイチゲ。
クリスマスローズのつぼみの横に
初めて現れた(庭に、でももしかしたら密かに毎年咲いていたのかもしれないね。今年初めて目が合った)
原種のチューリップのような、華奢な花はなんていうのだろう。

 

 

昨日はどこにもありません

あちらの箪笥の抽出しにも

こちらの机の抽出しにも

昨日はどこにもありません

……….

いいえ昨日はありません

今日を打つのは今日の時計

昨日の時計ではありません

今日を打つのは今日の時計

 

昨日はどこにもありません

そこに貴方の立っていた

そこに貴方の笑っていた

昨日はどこにもありません

……

(達治さん、のいうとおり)

 

林の朝に
昨日の景色はもうどこにもありません。
ぐんぐん芽吹くちいさな緑と
走り回る通草の蔓に
今朝はちいさな蕾がうまれている
昨日はどこにもありません

 

だから
今朝の緑を摘んで味わおう。
今日の緑が身体に入れば
林のみんなの仲間入りができたような。
ヨモギとカンゾウとスミレを摘んでかえる

 

 

 

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