ゆきのとける間に

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雪の予報が静かな雨になって

鹿さんも鳥も みんながほっとしている朝。

 

白いフェルトのように庭を一面に覆っていた雪も

陽のあたる場所からするすると地面に吸い込まれている

庭のダンコウバイやみなづきや ツリバナの幹のまわりだけ

ドーナツみたいに地面が現れて

春風はまだだけど

樹の中はそよそよあたたかな樹液がうごきだしているのかもしれない。

スノードロップも少し猫背のまま雪ノ下から顔出した。

そうはいっても日陰にはまだ雪の山があって

冬の気分でいたいときに眺めるのにちょうどいい

 

 

前代未聞の雪景色のなかで

心はおだやかに(ときどき雪かきに外に出て大汗かく以外は、)過ごしていたようにおもう。

テラスにでられないからえさ台になにもおいてあげられないのに

あきらめずに探しにきていた小鳥たち。

雪のにおいをかいでいるハナ子さん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAhana

目にうつる景色は確かに心に作用するのだ。

車も林の向こうに見えていたプレハブ小屋もなにもかも人工物が

すべてがすっぽりつつまれたから

目に映るのはただ、ただ白くゆるやかに波打つ雪の大地と

縦におりる樹幹のシルエット

世界は美しくて穏やかで

静寂だったからどうしようもないけれど静かな気持ちだった。

 

今はもうふりかえっているから安心でこんな風にいえるけれど

あの時寒くて凍えて、食べ物がなかったら、とおもうとこわい。

だから備えは大切だ。

鳥や鹿みたいに身一つでたくましく生きられたら良いのに。

 

雪籠りをしていたときにブルガリアの映画「さあ帰ろうペダルをこいで」を見た

「おじいちゃんに大切な話しがあるときは

空に浮かぶ雲につぶやくといい」

そうしたら 雲が伝えてくれるからね 手紙みたいに」

と別れ際に祖父が少年を抱きしめる。

 

少年は大きくなって遠い記憶から絵本をおもいだす。

 

 「籠は木の実でいっぱいです

 少年は大きな声でうたいながら森の奥へ 奥へ。

 日が暮れていきました。

 少年は心細くなってきました。

 夜のとばりが森をつつみ 一羽の鳥もみえません。

 、、、、、家路を急ぎます。お母さんの元へかえらなくちゃ

涙がでてきました。少年は心細くて、、、

「するとどうでしょう。 少年の流した涙が地面に白い道をつくりました。

 道は言いました

「わたしとお家へ一緒に帰ろう」

 少年が走り出すと 白い道も走り出しました。

 こうして白い道のおかげで 少年は家に帰れました。

 

 

白い道、白い雲。白い雪。

ただの景色のようだけれど

そばにいて 何かを伝えてくれて 大きくつつんでくれる存在と

心を通わせていられたら

日々はそんなにさみしくない。

 

 

 

 

 

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