がさこそ、音が降ってくるなぁとおもったら
道脇すぐの唐松の幹を リスがとととっと降りてくる
こんなに近くに人が立っているに気づかないのか
目もくれず
木の皮をばさばさ落としながら
とても軽やかとは言えない足取りで
真剣すぎるくらいに
やがて地面まで降りてきたら
くるり、と向きを変えて また同じ幹を上へ上へとのぼっていく
空の近く高くまできたら
枝先へと向かうのだけど
ジャンプして隣りの木の枝に渡ることができなくて
また引き返してくる
その繰り返し。
きっと朝の練習だわ
展示会に向けて
庭にも頭にも絵にも蝶がひらひら舞っています
「蝶の物語」
2年前のデンマーク の小さな村はずれの朝の野で
一面の蝶に出逢ったときから
その残像がずっと心のどこかにあった
夏に生まれる蝶と
あの小さな身体で越冬する蝶がいるというを知る
「蝶は花だったんだよ」というアンデルセンのつぶやきも
ときどき開くエミリーディッキンソンの詩集のなかにも
蝶がまたひらひらと 飛んでいた
ふとみれば 今日の蝶は庭にも舞っている
“From Cocoon forth a Butterfly
As lady from her Door
Emerged- a Summer Afternoon
Repairing Everywhere
Without Design-that I could trace
Expect to stray abroad
On Miscellaneous Enterprise
The Clover understood….”
………….. Emily Dickinson2
「外出する淑女のように
夏の午後
蝶は繭から姿を現わすと
そこら中を訪ねて廻る
後を追ってみても
私には用件がわからない
きっとクローバーだけが理解できるような
種々雑多な用件で
迷い歩くだけのこと
…….」 中島完 訳
そんなこんな物語をひろいあつめて
蝶の版画を刷りました。
相変わらず
魚はゆめのなかで 蝶に出逢いたいみたい。