うつむく青年

EBB00EBB-FA04-43A9-A195-01FDB9BDD9D2

 

0E42345B-A9F9-441D-8AA4-418D1DEA896D2022.7.7

 

「谷川俊太郎の世界を描く」展

東京銀座にあるギャラリーゴトウにて今日から始まります
総勢27 名の作家それぞれが谷川俊太郎の詩を一つ選んで作品を寄せる、、展
今回が6回目となる展示会
ご縁をいただき今年初めて参加させていただきました。

膨大な詩の中からどうやって一つ、選ぶというの?
谷川俊太郎の好きな友人の顔が浮かび、本を抱えるほど借りてみたものの
積み重なった本の中の頁を開いても
ほいっとお気に入りに出会えるわけもなくて 
ただ思いつくままに、詩集を部屋のあちこちに散らばせていた
そんな時に友人が
谷川さんが私たちと同じくらいの歳のころに書いた詩を読んでみたら?と
なるほどね、、、 谷川さんは1931年生まれでしょ、だから、、と一緒に年号を調べながら
その頃に出版された本に絞ってみることになったのでした

と、数日ののちにこれかなぁ、と2つ、3っ読み返してはまた戻ってくる頁に出会い
しばらくそのまま締切が迫ってくるまでぼんやりとイメージを抱いて過ごしていました

そうしてこの一片に

うつむく青年

うつむいて
うつむくことで
君は私に問いかける
私が何に命を賭けているかを
よれよれのレインコートと
ポケットからはみだしたカレーパンと
まっすぐな矢のような魂と
それしか持っていない者の烈しさで
それしか持とうとしない者の気軽さで

うつむいて
うつむくことで
君は自分を主張する
君が何に命を賭けているかを
そる必要もないまばらな不精髭と
子供のように細く汚れた首すじと
鉛より重い現在と
そんな形に自分で自分を追いつめて
そんな夢に自分で自分を組織して

うつむけば
うつむくことで
君は私に否という
否という君の言葉は聞こえないが
否という君の存在は私に見える

うつむいて
うつむくことで
君は生へと一歩踏み出す
初夏の陽はけやきの老樹に射していて
初夏の陽は君の頬にも射していて
君はそれには否とはいわない

 

『うつむく青年』 谷川俊太郎 サンリオ出版

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

そして後日になって、あの日私たちは算数の引き算がちゃんとできてなかったことがわかりました
まだその年齢でもないことに、でもその探し方は なんだか気に入っています
どちらにせよ出逢えたのですから

Posted in NEWS, 作品集, 日々のこと daily note
カテゴリー