スプーンのくぼみ

 

朝日がぐいぐいと早く昇ります。午前6時、空はもう朝をまとっていて

日付変わるまで版画を刷っていたのに、まぶたはこんなに重たいというのに

小鳥も春を唄っているように聞こえてくるし、また寝てしまうのはもったいない気持ちになって

エランティスの黄とスノードロップの白色が灌木のしたでまた仲間を増やしているだろうし。

そしてきまって午前9時ごろちょうど授業の始まる頃になると

どうしようもなく眠たくなるのだ。

これもきっと春だから。

その週はGREEN WEEK. 第2選択のジュエリーの授業が月曜日から3日間集中して行われた

課題はスプーンをつくる。

なぜスプーン?スプーンは使うもの 自分でつくらなくっても、いいんじゃないかしら。

なんてちらりとおもっていたけれど、スプーン講座は思いがけなく楽しいものとなった。

いつもの朝の集会でそれまでに彼女はいろんなスプーンの作品をみせてくれた。

1800年代のシルバースミスの,クラシックなスプーンから,

コンセプチュアルアートといえるスプーンをモチーフにした作品まで。

スプーンはあくまで一つの概念。

そして、人がはじめてスプーンに出会うのは,野原で池の水をすくうとき、

自分の手を少し丸めてくぼみを創って使った自分の手のスプーン、かもしれないっていうはなし。

 

だんだんスプーンがスプーンだけにみえてこなくなる。

まずは白い紙に自分のスプーンのカタチを最低10個描いて切り抜いてみて、、、

そしてもちろん10人10色のスプーンのカタチ、物語が始まった

1ミリの銅のプレートに型紙を合わせて糸鋸できりぬいていく。ぎぎぎぎぎぎぎぎ、、の時間が過ぎて

それから

がんがんがんっ どんどん がどんがどんがどんがどん、とくぼみを創るハンマーの時間。

スプーンはどんなカタチであっても、まるい、ラウンドなくぼみをもつ。

そのくぼみを真っ平らな銅板をたたいてたたいて形成していく

ハンマーでたたくという原始的なことを、それも大きな音を立てて、ただひたすらにしているのに

まるいカタチをめざしているいうことが

なんだかとても穏やかで

人は、スプーンを使う人として、一生に一度はスプーンを自分の手でつくるべきだ

とまでおもうようになった。

 

 

 

 

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