5月のマゼンダ色

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2020/5/22

なんだか彼女が隣の絵の中に
入りたそうに、してるような

マゼンダ色に雨粒が光ってる朝
雨に倒れてしまったおふたりをアトリエへ
今年もAllium gigantiumが咲きそろって
数えてみたら背高ノッポが56個も!少し種類の違う葉をした蕾が6つ、
少しいただいていいでしょう?

一年目の見事な姿も美しいけれど
きみはなん年目?
完璧な球体になれずに
ツンツン小花が飛び出してる
小ぶりなのもいい

 

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展示会が延期になった5月は
ぽっかり時間が生まれて
描きかけの絵にまたもう一度向き合う
それはなかなか辛いことかなと思ったりもしてたけれど
最後の筆入れは思いの外 気持ちが整うようで愉しい
ああ、そうか、次は、、、、、と
叶わぬ夢は
また新しい絵へ

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Iris in May

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2020/5/21

アヤメ

Iris sanguinea
深藍色をたっぷりふくんだ
絵筆のような蕾には
紋様が清く正しく折りたたまれている

若い蕾は
夜な夜な
この深いブルーを
どこからどう、生み出していたの?

蕾たちがある朝
色を纏っているという不思議

絵の具だらけの指先をこすりながら
例えば、ある朝この指先に藍色が生まれているなんてこと想像したら
色を生むなんて、真面目にすごいと思う
どこか熱帯の希少植物でなくたって
5月の庭には
神秘があちこちでポコポコ、生まれている

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このところ雨の朝が続いて
雨に撫でられ花も、緑も草も
木々も森も
気持ち良さそうしてる様子を見てあるく
雨音のリズムで

”ぼく、雨の日ってすきだよ。
木々の葉にしずくがあたる音も、
草のみどりがこくなる感じも、
世界がさっぱり洗われていくようすも”

優しい言葉が深いところへ響く絵本より
キリリとミーくのどんぐりのパンケーキと たんぽぽこーひ
空を切り取る、紙ひこうき、やがて蝶へ、、、、挿絵がとても素敵です 
紙ひこうき、きみへ   野中柊 著

麦の穂の海

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2020/5/21

5月の海

雨の予報と思っていたのにお日様の光
そんな嬉しい朝は迷わず青麦の丘へ
揺れる麦の穂は波のよう
もう初夏なのだ
初夏にうまく乗り込んだ綿毛がひとつ、ふたつ

遠い北の海辺の近くに住む友人たちは もう泳ぎはじめているのかな
ひゃー息が止まるほど冷たい!と叫びながら、、、

 

夏の海ほど自分とかけ離れているものはないとずっとずっと思っていた
それが、ここ数年デンマークで夏を過ごすことが続いて
海がこんなに、いや肌がこんなに海に溶け込んでいくのだ、ということを発見した、今も、し続けている
”湖でエルスと泳いでいる時、澄んだ水の下に 自分の身体が別の生きもののように 
白くゆらゆら揺れているのを見て驚くことがある、、、、”
こんなフレーズを読んだ時 一瞬にしてスーッと肌にその感覚が伝わってきて
身体が記憶した感覚は、言葉を(文章を)また一層深いところへと連れていくということ

”私はエルスといると自分が全身で太陽を吸い全身で風の抱擁を受けているのを感じる
自分がこの大自然の一部に還元し、その中で甦り新しい命に目ざめでもしたように
裸足で地面や頭もこうした自然の中に融け込んでゆくのだ
自分の身体の裏面がむき出しにされ 快楽が深い奥底から火のように激しくつきあげてくるのを感じる”

”とおい森の上の雲は、どこか見知らぬ彼方へ流れていってしまう雲でもなく、
また私から離れた遠くに浮かんでいる雲でもない
それは私の中に青く拡がっている空であり、その空に浮かんでいる雲なのだ。
あたかも私という人間が花の香りにでもなって空中のいたるところに偏在しているように
自分という感覚は薄れてゆき時には自分がまったくなくなってしまうこともある”

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夏のデンマークがなんだか急に遠く、遠くへ感じられる日々が続いているけれど
身体に残ってる感覚は確かなもので、何かの拍子にそれらは鮮明に浮き上がってくる
だからいっぱい、そういう”何かの拍子”をたくさん作っていこうと思う、
麦畑が 夏の海へ連れていってくれるのだから
ただ身体を広げて 自然の中へ分入ればいい、のかもしれない

引用は『夏の砦』 辻邦生より

5月の展示会の延期

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2020-5-5

描いているそばから
はらりはらりと花弁が紙の上に落ちては
ふわりふわりと蕾が柔らぐ

まるで三倍速の時を生きてる5月の植物たちに
ついていくのはたやすいことではないね
昨日の夕暮れに見ていた景色は
もう朝には変わっている
伸びている
咲いている
手を広げている

5月の八ヶ岳での展示会 FLOW FLORA 二人展を延期することとなりました
緊急事態宣言が出てからも
5月の最後の週にはきっと!と願っていましたが
まだもう少し辛抱の時期が続きますね
イグレグさんのご好意により
季節を越えて11月へ延期となりました

それでも絵は描き続けます
刺繍の彼女もチクチク続けるでしょう
純粋さが増したような5月の植物たちに
いつもの春と何かが違う、こちらの心持ちのせいか
恐れも不安もそのままの
私たちをふわっと抱きとめてくれる植物たちの底力を
より鋭敏に感じることのできる今だからこそ
草の中の出来事を
しっかり見つめて過ごしたい

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Anemone

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2020-4-16

どんなにお日様が笑いかけても
アズマイチゲの白はうなだれたまま
その隣でニリンソウがぽっぽっと開きはじめました。
ニリンソウは キンポウゲ科イチリンソウ属
Anemone flaccida
学名のAnemone は日本語の分類法でイチリンソウ属とのこと
イチリンソウ ニリンソウ アズマイチゲ
キクザキイチゲ ハクサンイチゲ など
春の山野で一番に咲く小さな白い花たちの
健気な仲間がイチリンソウ属
(秋のシュウメイギクも、イチリンソウ属に入っているけれど)

アネモネ と聞けば大抵
あの鮮やかな赤や青の花を咲かせる球根花を思い浮かべる
学名anemone coronaria”

色が鮮やかで 濡れたようで 野性味があって そのくせ慎ましく 恥ずかしそう”
、、(辻邦生「花のレクイエム」)

まさにその通り
アネモネという音の響きには華やかなイメージがつきまとう

それが Anemoneにもう一つの景色が加わるようになった 、私の心に、ね
どちらかというと アネモーナ という発音で
デンマークのボンホルム島で過ごした初めての春
白い絨毯のように森一面を覆いつくしていた白い花に出会ってからのこと

名前は Hvid Anemone (anemone nemorosa)
ニリンソウによく似ていて、違いは少しだけ大ぶりなこと、と葉のつき方くらいかな
春が近づくと みんながAnemoneアネモーナの話をしはじめ
咲き始める前から、心待ちに
咲いている日々は毎朝のように Anemoneの話をして Anemoneの歌を歌ったから

世界が遠くに感じられる日々だから
ニリンソウを描きながら
今頃きっとボンホルムの森を覆っているだろうアネモーナを想い浮かべる

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Morgensang med Phillip Faber
というデンマークの音楽番組がある

「フィリップ兄さんと朝の歌」は毎日現地時間で朝9:05から放送されていて
フィリップ兄さんが毎朝12分の中で 2つの歌を取り上げて 彼のピアノの伴奏で歌う
子供から大人まで 集って歌うことをこよなく愛し、
日々の暮らしの一部になっているデンマークの人々の
”歌う愛”が溢れた番組だなぁと思う
デンマークでも学校が休校となり
皆がstayhome する日々の中で
そんな時だからこそ繋がって一緒に歌うこと、をこの番組が叶えていて
幼稚園くらいの子や  赤ちゃんを抱いたお母さん、おじいさん、などなど
一般の人がリクエストを伝えフィリップ兄さんがそれを伴奏して歌う、、、
とても シンプルなのだけど 見ていてなんだか元気をもらえる
ホイスコーレソングブックから
聞いたことのある、懐かしい曲も登場するせいもあるのかな
3月17日から始まった番組は今日は30回目

”幼稚園が休みでみんなに会えなくてさみしいの、私の先生Miaにも会いたいの
みんなでよく歌ってた ああ、アネモネの歌をリクエストしたいの”
女の子Sigridがリクエストしていた歌は “Anemonesangen”というタイトルで
それで嬉しくなって
そのフレーズをノートに書いた日

Åh Anemone
dækker hele jorden ligesome sne
Åh anemone
snart får vi vel sommer at se

アネモネよ〜 大地を一面に覆う雪のよう
アネモネよ〜 そしてもうすぐ夏に会えるよね

 

 

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