描くように Karen Blixen museum

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2019/9/10

Helenは小柄な女性だった、白髪に少し鋭い瞳をして
少し話しはじめたらすぐに ケラケラとよく笑う人だとわかった
「まぁ、なんでも聞いて。花のこと話すのとっても楽しみにしてたの」

彼女が今この美術館の庭の花と 活ける花全てを任されている人
手伝ってくれる二人の女性がいるの、夏は週に何回か任せてるのよと
まぁこっちにどうぞ、と展示室から続く控え室のようなところへ
先日訪れた時に女性が銀食器を磨いていた場所だ
そこにはもう花が溢れていて 草も花も匂いも秋の色彩だった
「ほら今日こんな雨だったでしょ、大変よ、でもダリアが今ちょうど綺麗なの」

朝こうして庭から今ちょうどいい頃の花をどっさり取ってくる、それからね
適当に生けていくの
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一番興味があったのは 今生けているのはKarenの生け方に乗っ取っているのですか?
それとも貴女のセンスで生けているのかしら、、ということ。
「最初はね、勉強したの。この本ね、貴女も持っているこの本の中のKarenの生けた花の写真を見て
全部ひとつひとつドローイングしたわ。それから同じ花を選んでそのまま同じように生けて再現しようとしてみたの。
そりゃ楽しかったわよ、大変だったけど。」
それからわかったことは
彼女の生けるスタンス、
Karenは絵を描くように、花を配置してるの

黄色は光を表していて、ほらこの黒いチューリップは影になるところに配置してるの。
左側は軽く白に近い明るい色を持って来て 右下にいくにつれて濃い色、重量感のある花を持って来てるでしょ。
左から右下に流れるように、、、がいつもの彼女のスタイルだったの。
黄色はいつも大切な色の要素だったとか、意図的に花束の内側の奥の方に配置して
差し込む光みたいに。

彼女の話を聞きながら写真を見ると、本当にそうだった。
光と影、花の色と形を使って表そうとしているよう
カレンは草も好きだったのよ、ビュンビュンって飛び出すように活けるの、ははは ビュンビュンってね。
そうね 花もいっぱいあるし、ちょっとやって見ますか。と踊るように生けはじめたHele

 

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棚の中には花瓶のコレクションが並んでいた、そのままKarenが使っていたものを今でも使っているのだという

彼女は生けるのが早かった、こうしてねここにもうちょっとここに、、と歌うように
さ、これはどこに置いたらいいかしら〜、ね

ほら貴女もせっかくだからひとつやって見たら

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再び Karen Blixen museum

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2019-9-10

またここに戻ってきた

ボンホルム島を朝一番のフェリーで出発して コペンハーゲンに着いたのが9時半
土砂降りの雨の火曜日のこと
その日オールボーヘの向かうバスの便は16:00の予定だったから4時間はゆったりあった
中央駅からRungsted Kystへ 美術館へと歩く頃には雨が小降りになって
雨の森を歩く

 

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夏に訪ねた時に
各部屋に生けてあった花に心惹かれた
それがKarenの意思を受け継いで 彼女のスタイルを取り入れていること、よりも
もっと何か、、感じられる花束だったから

きっと返事は来ないだろうなぁと思いながら
しばらくして返事が来た、
「花のこと 話がしたいならぜひ、
都合のいい時間を知らせてくれれば ぜひ会いましょう Helen」 と
この日が唯一帰国する前に 美術館を訪れることのできるチャンスだったから
10日の11時半に、とこっちの勝手な希望を伝えた、
しばらくしてまた返事が来た
何時でも貴女のこられる時間に合わせるわ、と。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA雨に濡れてさらに鮮やかになった花束が彼女の墓石の上に置いてあった
いらっしゃい、とそう迎えてくれてるようで嬉しくて

JOHN OLSENに教わったこと

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ボンホルムを出発するまであと数日になっていたから
できるかぎり 会いたい人に会うことにしていた
RigmorLisbeth のところへ
ボンホルムの南端に位置する美しい海辺の近くに彼女のサマーハウスがあった
彼女は版画工房TRYK2を立ち上げたひと、 
ボンホルムのホイスコーレでも長くartの先生をしていて
必ず毎夏展示を見にきてくれた。
小さな身体 水を映したような潤んで輝く瞳、に見つめられるとみんながつられて笑顔になる
若者を受け止めて いつも何かを照らし返してくれるそんなひと

同じようにもうすぐボンホルムを出発する友人たちも集まって賑やかな夕べに
小さな身体を車椅子に乗せて、くるくるとキッチンを動き
野菜の溢れるキッチンからあれこれを選んで
彼女はさささっと料理を作る、
スパイスは必ず生姜とグルカマイ ジャスミンライスを合わせてエスニックな香りのチキンの煮込み料理ができた
庭の完熟トマトたっぷり、ビーツも入ったグリーンサラダと、
もう庭で食べるには寒いわね、、、と キャンドルの灯りで食卓を囲んだ

バスに合わせて帰る友人たちを見送って 私は一晩泊らせてもらうことになった
このあいだの話の続きがしたかった

ベッドルームはギャラリーのようだった 様々な白黒の版画たち
彼女がいつも言葉の端々で伝えてくれる表現の幅、生き方の幅をそのまま表してるような壁

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次の朝、まずは食べ物の話になった
この夏いろんな友人のところに滞在して、
それぞれの、彼女の、彼のその人らしい毎朝の朝食が楽しみになったと、そんな話をしたからだったかな、
彼女の朝食はスムージー、ケールとセロリと生姜とバナナとskyr(アイスランド発祥のヨーグルトみたいな)
寒くなったら Grød (オートミールを煮たポリッジ)よ。シナモンと夏にとっておいたベリーとナッツと一緒にね
”ボンホルムアーティストの朝食、ていう本ができそうね”
彼女が学生の頃アカデミーで学んでいた時から、ずっと興味を持っていたのが
自然から採れる摘み草(ハーブや野草)素材を大切にする料理だったこと、
今でこそ 地元の野菜や野から採れるもの、オーガニックに皆が関心を寄せて世界中でトレンディになっているけれど
まだその当時40年前でそういう料理のスタイルはほとんど公になかったとか
「それでニューヨークの学校に行ったのよ。」

それからデンマークの画家John olsenの話になった
先日訃報が届いたばかりだった

アカデミーで学んでいた頃、表現することに情熱を捧げる周りの生徒たちと、
アーティストとしての方向性に何かしらのギャップを感じていたこと
自分がどういうスタンスでアートに関わっていくのか、根本的なところで悩んでいたこと
身体のハンディキャップをもちろん抱えながら。。先生の仕事に就くなんてこと、まだ考えもしてなかった頃のことね、

その頃に出会ったのがアカデミーに先生としてきていたJohn olsenだったこと
彼のメッセージはなぜだか強烈だったの
その頃彼女が制作していた作品を見せた時のことを思い出しながら話してくれた
もっともっと、中に入り込め、
もっと、もっと。
君のその歩き方で(彼女は小さな身体でゆっくりと少し引きずって歩く、)君だけの速度で 世界を見ているんだから
その世界に入り込め、って。
僕はこうやって(どんどん、と)地を鳴らすように
君はもっとこの 、地面に近い世界をゆっくり 松葉杖のせいで宙に浮くように歩いているだろうって。

それはどう、ものを描くか、だけでなくてもっと奥の奥の方へ届くようなメッセージだったこと。
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もう一つ、は
彼の授業のエピソード
ある朝 肩に野うさぎを担いで教室に来たの
どさっと大きな机の上に 荷を降ろす
さぁ 描け。
それからそのウサギの皮を剥いで そのウサギのさっきまで血の通ってた身体の中をあらわにして
さぁ 描け
それから肉をさばいて
ささっっと調理室で彼が料理をしたの、それを最後にみんなでちゃんと味わったの
それがね、全部のプロセスなのだって。
彼にとって描くことは命の 外側と内側を 外観と魂を 自在に行き交うの
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そんな話が続いて、彼女がボンホルムでアートの先生になるきっかけになったのは一本の電話だったこと、
まぁやってみようと思って来てみたら、ここにこんなに住みついちゃったこと。
教えるということが、ようやく彼女が掴んだ自分が外と、人と繋がる最適な術だったこと。

もう一つ山があって涙ぐんだりしながら
a lesson of the life そんなここに残る朝になった
車を、まずは新しく探さなくちゃいけないの、車椅子を積んで一人でもどこでも行けるように
大きな大きな車で大変だけど、必要なの。そう言って笑う彼女にまた力をもらう。
翌日彼女から送られて来たのは
John Olsenのリンクだった

Opening day

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Aarsdale の朝
この夏幾つの場所に滞在したんだろう。毎週どこかに移動していた。ボンホルム島という小さな島の景色がここまで違うこと、こんなに豊かなこと実感できたのは、こうしてヤドカリみたいに移動してたからだ。
Aarsdaleという小さな海辺の町に移って4日目の朝、つまり昨日は展示会のオープニングだった。朝7時前に海へ下る。まだ温かな色が空に残っている時間。ここが一番美しいのではないかと思う。だあれもいない、と思ったらやっぱり先着は鳥さん

OLYMPUS DIGITAL CAMERAこんなに心穏やかに初日の朝を迎えられるのは、本当に初めてのことかもしれない。箱いっぱいの額と描きかけの絵を持ってあちこち滞在場所を移動するのはなかなか骨の折れること、でもこの展示会1週間前に夢のようなここに来れたことは、奇跡みたいだった。
大きな作品を描く画家のJanが車でドーンと搬入を手伝ってくれたことも、自転車で毎日バスの時間なんて気にせず通えたことも、、、4回目のsvanekegaarden のみんながとても温かく迎えてくれたことも、、、みんな導かれたようにいろんな友人の助けを借りて。

いろーんなことが、こういうためにあったのかもしれないなぁと海に抱かれてるみたいな気持ちに一瞬でもなれたことは、、、、ミラクルだ。
静かなオープニング前の時間。
今朝出来立ての鳥さんを持って
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写真家のKirsten Kleinの展示と同時開催のオープニング。彼女はデンマークで一番知られた女性写真家ということもあって、ボンホルム島中から人があつまってきていた。白黒の写真、一言で言ってしまえばランドスケープなのだけれど、静寂さと木の葉の揺れる風の音が響いてきそう。何より自然への敬意を彼女と景色とのプライベートな関係を。

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Zornmuseet

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2019/8/27

スウェーデンにいるとどこにいてもカールラーションがついてくる、そんな気がする。毎回どこかひょいと訪れた美術館では彼の企画展が開催されていた。そして今回もZornmuseetではAnders ZornとCarl larsson のアートと友情と
というテーマで。
カールラーションとZornが親しかったことも、彼らが同時期に活躍していたことについて何も予備知識がなかったから、
タイプが全く違う二人が、大きなポスターの隣どおしにあるのは、すごく新鮮に感じた。

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E3A3D123-00AD-49D9-82A3-89FCC3D1315BZornとCarlどちらも素晴らしく優れた描写画家だと思う。とにかく格別に上手いのだから。線描の正確さ、とくにZornの版画家としてに技術力, カールラーションの色彩、水彩の特性を最大限に尽くした表現。挿絵風の絵とは少し違った描き方をしている大きな水彩画が圧巻だった。それが水彩であるということに驚かされる

二人のそれぞれの自画像や、初めて見るカールの白黒の版画も。それは彼に得意とする水彩とは別の、自分のためだけに作ったようなダークな部分が現れているようで

その当時既に画家として認められていた彼らが、ここスウェーデンの北の湖のほとりの小さな田舎町にストックホルムのアカデミーでの活動から拠点を移したこと。絵画の制作だけでなく、それ以上に暮らしを(家、室内のデザイン、テキスタイル、家具、、、全てに渡って)創り出すことにエネルギーを注いで、自然に抱かれて暮らし、暮らしの周りを自分の手で創り出すそういう在り方をアーティストとして世界に提示してみせた、存在であったという。

そして何よりも印象的なのは

夫婦で共に、ZornにはEmma CarlにはKarin、、、奥さんが女性としてデザイナー&プロデューサーとして片腕ならぬ、率先して役割をリーダーシップをとっていたこと。

それが現代のスウェーデンの女性と男性との仕事の立場の対等な立ち位置を象徴しているよう、ととったら軽はずみなのかもしれないけれど、どうなのかなぁ

「大抵はこの時代女性でアーティストとして認められてる人は孤独に生きてるよね」

「アーティストの旦那さんを持ち女性が画家として同等に活躍するなんてことなかなかない時代、、、だものね」ちょっと特別なケースだね、

なんて話をWolfgangとAnnalenaとカフェでそんな話をする。

BA20F02B-BE56-4570-8676-69165A682DB3この後ZornとCarl larsson 、stockholmで訪れた美術館wardelmasse のPrince eugence と繋がっていく

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