鹿が入ってきた日

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2017/1/16
綿雪の降るおとといの夜のこと
お風呂上りにふと窓に外を見たら
大きな雄鹿が庭の真ん中に立っていた

ぼんやり。窓のこちらの気配に気がついても動じることなく
ただ月の光に佇んでこっちを見ている。どうぞとドアを開けたら入ってきそうなくらいに穏やかに
そんな静寂が5分ほど流れた
別の鹿がきて、その動きに灯りが作動してパッとついた瞬間に
ビュンと、2匹は走り去って行ったのでした
それがおとといのこと

翌朝は中古のまきストーブをアトリエに運ぶ日
心配していたほど雪は降らずに空気がただただ凍りつくほどに冷たくて
友達親子に手伝ってもらう。小ぶりなのにずっしり重い鋳物の薪ストーブを3人でやっと運び入れる
よく見れば鋳物の彫りがある。牡鹿と松みたいな

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途中友人の家に寄ると
庭先に大きな鹿が釣り下がっていました。数日前に仕留めた、、という雄鹿
「きょうこのあと解体するの手伝う?」と誘われ即座にうんと答えた私
彼の手慣れた手つきを見ながら、同じように
雪の舞う中凍りかけた鹿の身体に時々お湯をかけながら、鹿の皮を剥いで行く
けものの匂いは全くしないのね。
森の中で仕留めたらすぐに「内臓と血を全部流し出すんだ、すごい湯気が出てね、その匂いはすごいけど」
「お腹の中にパンパンにクマ笹が詰まってたよ。まだ消化されてないシャカシャカのまま」
笹とか木の皮だけを毎日毎日、生きている限り食べてるんだね、
草食の動物の見事なまでに赤く美しいキメの細かい肉体を眺めながらやっとの事で皮を剥いだ
皮をなめして革細工に使うまでの工程が大変なこと
前足と胴体は筋肉だけでつながっていること
お肉を食べるというのはこういうことなんだね、と色々話しながら大人3人全力で鹿の身体とで向き合った
6歳の子が時々見に来て、「おいしそー、早く食べたい」とつぶやく姿に、大人の笑みがこぼれた
「そういってくれると力がでるねー」

よいしょっと大きな板にのせて、お肉を分けて切っていく
いったい何キロあるんだろう
骨にそって肉を美しく切りわけていく様子にもちょっと感動した
ももの部分と背中の骨に沿ったところの部位が美味しいという
「すこしもってく?」ももの部分を切り分けてもらってきた。あかいかたまり。

「シンプルに塩こしょうと、にんにくか、ちょっと醤油で焼いて食べるのが美味しい」ときいて
夜にそのかたまりの一部をスライスして焼いてみた
美味しかった。香りがあって干し草みたいな
鹿の身体(命)の一部が自分の身体に入ってきたような感じがちゃんとした
昨夜庭に訪れた鹿、ストーブの鹿の彫り物、そして命を頂いた鹿、みんな違うのだけど
鹿さんが森の中で生きたはるなつあきふゆ、
雪の中クマザサをせっせせっせと食べたその時間も
見上げてただろう星空も
みんな赤い肉のかたまりになって こちらの身体に取り込まれたような。
こんな体験ができたことに感動している自分に
少し驚いたりもした
(ベジタリアンだった時期もながかったのになぁ)
心と身体の感じが一体になるような。

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湖に毎朝散歩に出かける
なにやら巨大な鳥が歩いた跡があったり
今朝の氷はいっそう分厚くて、
水鳥が水際の氷の上を並んであるいています

 

 

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