From Emily

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2017/4/1

四月さん
はじまりの色に白を
お選びね

ふわふわの雪に
小川の音
小鳥の控えめなさえずり
ダンコウバイの黄の枝先に
どこかうごめくものがあって
やっぱり冬でなく春の雪

でもこのまま
しんしん降り続けたら?

IMG_9081-0.jpg小さな版画シリーズ From Emily というシリーズを作っています
Emilyとはエミリーディッキンソンのこと
19世紀のアメリカの女性詩人
東部マサチューセッツ州の小さな町に生まれて
成人してからはほとんど外出することなく、身近な庭の一握りの自然を日々観察していたひと。内的世界へ「限られた中の無限」を紡いだ詩は発表されることなく彼女の没後に膨大な量が見つかったそう。

そんなドラマチックなことを知ったのは後のこと
最初に彼女の詩に出会ったのは映画
「ジョルダーニ家の人々」
映画の原題も
“la cose che restano ”
そこにとどまるもの

Something that fly there be
Birds,hours,the bumble bee
of these no elegy

Something that stay there be
Grief, hills ,eternity
Nor this behooveth me

そしてそれからゆっくりと彼女の詩集を集めて開くようになった
分かるようなわからないような
言葉の霧の中に迷い込みながら
蜜蜂や蝶や草たちが登場するユーモラスな詩
壊れてしまいそうなほど孤独と死を見つめた詩
bees2013401

春になるとこれ(以前にも紹介したかな)
Bees I’m expecting you
Was saying Yesterday
To somebody you know
That you were due
The Frog got Home Lastweek
Are settled and at work
Birds mostly back
The Clover warm and thick

You’ll get my letter by
The Seventeenth,Reply
or better ,be with me-
Yours Fly.   no. 1035

蜜蜂さん お待ちしているのです
昨日もあなたのお知り合いの一人に
話していたところです
あなたの番ですよ、と

蛙たちは先週家にかえってきました
もう落ち着いて仕事を始めています
鳥たちも大半は戻ってきました
クローバーは元気に繁っていますよ
この手紙は17日頃には着くでしょうけど
お返事をくださいね
それよりも、早く私と一緒に
友達の蝿より

 

ちょっとまだ早いようですから 小声で。

Noirでの展示も明日4/2までです

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