2019/2/4
立春
スケッチを取り出して
記憶の中の春を 思い浮かべる
目を瞑って
膝ついて スケッチしてた朝の冷たい空気と
風の痕も
その時の心持ちも
紙の上にまだちゃんと載っているから
不思議だ
いつだって
春の子の茎はしなやかで跳ねるよう
”Dace with me” そう聞こえてくる
ポピーはデンマーク語でValmueという
”ああ valmue(バルムー)ね” 皆が少し目を細めて優しく微笑む
どこの展示会でも ポピーの絵は必ず一枚描いているから
絵の前で立ち止まる人の姿に 何度も出逢った
その時の絵の中のポピーは 彼女のもの
乾いた麦畑で風に揺れてたり
おばあちゃんの花瓶にいっぱい活けてあったり
草の匂いと蜜蜂の音
描きたいのはそんな透明な想い出
鳥が羽ばたいて 熟したようないい匂いの風に草の穂が揺れて
皆が安心を交換している場所
草の上にぺたんと 座って
空が上にあって土がお尻の下にあって
小さな虫も鳥も花も、一緒にここに居ていいんだ、と思えた瞬間